Rainbow – Difficult to Cure

(邦題)レインボー『アイ・サレンダー』

(1981年作品)

収録曲:

01. I Surrender

02. Spotlight Kid

03. No Release

04. Magic

05. Vielleicht Das Nachste Mal (Maybe Next Time)

06. Can’t Happen Here

07. Freedom Fighter

08. Midtown Tunnel Vision

09. Difficult to Cure

 




ジョー・リン・ターナー加入!

前作『ダウン・トゥ・アース』一枚を残しヴォーカルのグラハム・ボネットはバンドを去ることになるのだが…

レインボー三代目のヴォーカルとして加入したのが、ジョー・リン・ターナーである。

 

さらなるアメリカ進出へ向けてポップ&ハードの路線を突き進むレインボー、はたしてそのサウンドはどのように変化していくのであろうか?

今一度聴いてみようではないか!

80年代のレインボーを…

 

では、

Rainbow 五枚目のアルバム

Difficult to Cure

についてレビューしていこう。

 

レビュー

アルバムの原題「Difficult to Cure」をイメージさせるようなジャケットである。

「治療不可」とは何を意味するのであろうか?

 

一曲目「I Surrender」でアルバムは幕を開ける。

これまでにないくらいにポップなナンバー。前作『ダウン・トゥ・アース』に収録されていた「Since You Been Gone」と同じく、ラス・バラードのカバー曲である。

グラハムのヴォーカル以上にポップなメロディーが活きているのもジョー・リン・・ターナーならではであろう。そして、アメリカン・マーケットを意識したようなポップなナンバーを一曲目にもってくるあたり、リッチーの本気度がうかがえる。

しかしポップな曲調ながらも、リッチーのギターにおいては哀愁感さえ漂うソロを聴かせてくれる。さすがである!

 

そして二曲目「Spotlight Kid」、疾走感あふれるナンバー。ここで聴かれるリッチーのギタープレイは神がかっていよう!ポップ路線となったとはいえ、ハードロックの魅力を伝えるエキサイティングな曲であり、後期レインボーのライヴで一曲目に演奏されることになる。

おそらくであるが…

リッチーには、ハードロックの魅力を伝えるという意味で「一曲目はスピードナンバー」という意識があったのではなかろうか?

ディープ・パープルにおいては「Highway Star」や「Burn」がライヴの一曲目であった。

レインボーも「Kill the King」が一曲目に演奏されていた。

そしてこの「Spotlight Kid」、後期レインボーの一曲目となるスピードナンバーなのである。

 

三曲目「No Release」、ドン・エイリーのキーボードをバックに空間的なギタープレイから始まる、キャッチーなミディアムテンポのナンバーだ。

四曲目「Magic」、ブライアン・モーランの曲。まさに当時のレインボーが「ポップ」という色を求めていたかをうかがえる。

五曲目「Maybe Next Time」、インストナンバーである。リッチー節ともいえるギターを十分に堪能できる素晴らしい曲であろう!

 

と、ここまで聴けば…

ポップ路線ながらもツボをおさえた構成となっている。

なぜなら、ポップ否定派の従来のレインボーファンを納得させられるだけの二曲目「Spotlight Kid」と五曲目「Maybe Next Time」の存在感が大きいからである。

そして、レインボーにハードロックの激しさと哀愁の美を求めるのはファンだけではなくリッチー自身であることも事実だから…

 

アルバムは後半部分へ…

六曲目「Can’t Happen Here」、キャッチーなギターリフにポップなヴォーカルが印象的な軽快なナンバーである。しかもギターソロも素晴らしい。

七曲目「Freedom Fighter」、独特なリズムが印象的な軽快なポップナンバー。

八曲目「Midtown Tunnel Vision」、ヘヴィなスローナンバー。しかしポップ感が漂っているのはやはりジョーのヴォーカルならであろう。

 

そしてラストの九曲目「Difficult to Cure」、誰もが知っているであろう「ベートーベンの第九」のアレンジ曲。リッチーにはやはりクラシック音楽が似合う!

「クラシックの音楽家は半年で消えるような曲は書かなかった」と当時の音楽シーンに皮肉めいたコメントをしたことがあったが、アメリカン・マーケットを意識しつつも芸術としての音楽を大切にしていたのではなかろうか?

それにしてもなぜタイトルが「Difficult to Cure」なのか?

リッチーいわく「自分の頭の中からクラシック音楽を排除するのは不可能」らしい。

 

アルバムは、ポップでありながらも最後はリッチー・ブラックモアの信念というかユーモアで幕を閉じる…

 

聴き終えてのトータルのイメージ、感想を述べさせていただこう。

このアルバムはアメリカ人ヴォーカリストであるジョー・リン・ターナーの出世作であろう。

しかし、レインボーおよびリッチーのファンであったリアルタイム世代にとっては「賛否両論」「問題作」とも言われている。

そして皮肉なことにも本作品はアメリカン・マーケットにおいてその成果を残すのだが…

今一度聴いてみれば「リッチーならではの作品」として完成されているのがわかる。

ポップ路線でありながらも、彼の魅力が伝わってくるからである。

ちなみに、ドラムのコージー・パウエルは前作を最後に脱退して、本作には新たなるドラマーのボビー・ロンデイネリが叩いているが、バンドのラインナップが変わろうともリッチーの描く音楽信念が感じられる素晴らしい完成度となっているのではなかろうか?

 

だからこそ、本作『アイ・サレンダー』の魅力はリッチー崇拝者がその良さを再発見できる名盤ともいえよう!

レインボー

リッチー・ブラックモア公式サイト
https://www.blackmoresnight.com/