Deep Purple – Stormbringer

(邦題)ディープ・パープル『嵐の使者』

(1974年作品)

収録曲:

01. Stormbringer

02. Love Don’t Mean a Thing

03. Holy Man

04. Hold on

05. Lady Double Dealer

06. You Can’t Do It Right(With The One You Love)

07. High Ball Shooter

08. The Gypsy

09. Soldier of Fortune




第三期ディープ・パープル最後の作品

前作『紫の炎』によって、再びバンドに活力というものが生まれてきたかに見えたが、このアルバムを最後にギターのリッチー・ブラックモアが脱退となる。

カヴァデールとヒューズ、新たなるメンバーの個性をディープ・パープルに取り入れた「第三期」…

しかし、あくまでもハードロック路線を基本とするリッチーと音楽性における亀裂が入っていくのである。

そのような背景もあり、本作『嵐の使者』がリリースされた当時の評価は芳しくはなかった。それ以上にリッチー・ブラックモアのこのアルバムに対するコメントは酷評ともいえるものだった。

 

しかし今一度、じっくりと聴いてみようではないか?

「第三期」ディープ・パープル、最後の作品を…

 

では、

Deep Purple 第三期の二作目

Stormbringer

についてレビューしていこう。

 

レビュー

ペガサスが描かれた美しいアルバムジャケットである。

 

アルバムはタイトル曲「Stormbringer」で幕を開ける。

一曲目にふさわしいキャッチーかつノリのあるハードロック・ナンバーだ。ジョン・ロードのシンセサウンド、リッチーのボトルネック奏法、そしてカヴァデールの力強いヴォーカル、それらが見事に結実している。

二曲目「Love Don’t Mean a Thing」、これまでにないようなブルージーかつソウルな雰囲気の曲だ。リッチーのギターに関しては、バッキングはもちろんソロもナチュラルトーンである。

三曲目「Holy Man」、ヒューズの甘いヴォーカルで展開される、これまたソウルフル・ナンバー。ギターはリッチーらしいボトルネック奏法が活躍するが、全体的にポップなバラード感が漂っている。

四曲目「Hold on」、これまでにないようなファンキーなナンバーである。

 

と、ここまで聴いていけば…

カヴァデールとヒューズの持ち味が、ディープ・パープルというバンドを?み込んでしまったかのような不思議な感覚にとらわれるのではなかろうか?

パープルらしい一曲目「Stormbringer」でスタートしたのが、二曲目以降に進むにつれてハードロックから遠ざかっていくのである。

 

アルバムは後半部分へ進んでいく。

五曲目「Lady Double Dealer」、ノリのあるハードロック・ナンバー。歌に関してはコーラスがフィーチャーされたキャッチーな感じであるが、リッチーのギターは勢いのあるプレイである。

六曲目「You Can’t Do It Right」、ソウル・ソングだ。良く言えばカヴァデールとヒューズの持ち味が最大限に発揮されているが、もはやパープルの色はほとんど感じられない。

七曲目「High Ball Shooter」、キャッチーなギターリフが印象的な軽快なハードロック。ジョン・ロードのキーボードソロが印象的である。

八曲目「The Gypsy」、ブルージーに歌い上げるカヴァデールとマイナーキーのギターフレーズ、ドラマティックな展開が印象的なナンバーである。前作で打ち立てた「第三期」パープルの雰囲気に近いのではなかろうか?

ラストは「Soldier of Fortune」、スローバラードである。リッチーらしい幻想的な雰囲気をもったナンバーで、後のレインボーを彷彿とさせる美しい曲だ。

そしてアルバムは静かに幕を閉じる…

 

アルバムを聴き終えての感想述べさせていただこう。

カラフルな印象ともいうべき、多種多様な曲で構成された作品であろう。

一般的には「ソウルフルでファンキー」と評価され、ディープ・パープルらしくない作品と酷評すらされている本作『嵐の使者』であるが…

しかし、アルバムの一曲目と八曲目はパープルらしい曲で、ラストはリッチーの持ち味が生かされている。

そして、その他の曲も決して悪くはない。

 

「過ぎたるは及ばざるが如し」と言われるように、カヴァデールとヒューズの持ち味がディープ・パープルの「枠」を超えてしまってるのだ。

その結果、アルバムのトータルバランスが崩れてしまっている。

前作『紫の炎』で打ち立てた第三期ディープ・パープルのカラーは絶妙なバランスで成り立っていたが、ここにきてそのバランスが崩れ、そしてギターのリッチー・ブラックモア脱退となる。

 

最後に一言コメントさせていただこう。

本作『嵐の使者』は隠れた名盤である!

「隠れた名盤」とは何か?

新しい発見、新たなる魅力、といったパープル・ファンが楽しめるアルバムであろう。

もしもあなたが、リッチー・ブラックモアのディープ・パープルを知りたければ、ファーストアルバムから歴史を追って聴いていくのをおススメしよう。そして最後にたどり着くのが本作『嵐の使者』である…

ディープ・パープル

公式サイト
http://www.deeppurple.com/